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アニメ「平家物語」第11話感想 語り継がれる物語

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こんにちは。てんすけです。

 

さて、今週もアニメ「平家物語」の最新話が配信されました。

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この記事では、ネタバレ感想アニメで描かれた史実の解説を書いていきます。

 

 

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注意

ここから先はネタバレあります

 

 

 

 

 

ネタバレ感想

 

 

びわの目

 

びわが見届けた平家の物語

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それがこの諸行無常物語でした。

 

びわがもつ未来を見る目過去を見る目

その役割を終えたのが今回。

 

未来を見る目は、平家の行く末が決した時に役割を終えました。

それは、安徳帝が入水した時でもなく、徳子が身を投げた時ではありませんでした。

 

平知盛の名言

見るべきものは全て見た

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この言葉の通り、平家が生きた行末を見届けた瞬間、びわの目から輝きが消えたのです。

びわの目は平家の未来を見るためのものでした。

それは、現代人である我々がもつ視点と同じ。

 

ここで、平家の未来がなくなったということです。

 

そして、もう一つ。

重盛から受け継いだ死者を見る目

 

これが消えたのは、知盛の自害に続き資盛らすべての平家一門が一斉に海へと身を投げた時

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なぜこの時だったのでしょうか。

 

私の解釈としては、平家一門極楽浄土へと旅立ったからだと思います。

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死者ではなく、海の底の極楽浄土で今も栄華を極めた平家として生きているから。

 

もちろんこれはかなり好意的な解釈です。

 

これまでびわのもつ死者を見る目は死者を悲しい存在としては見てきませんでした。

びわは平家の最期を見て、今なお一門が生き続けることを願った。

平家を死者として見るのではなくそのまま残る存在としていく。

 

このような思いから、この時に目の力を失ったのではないかと思いました。

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そして、びわは平家の赤い旗を見つめた後、琵琶法師となりました。

 

 

 

徳子の祈り

 

私はずっとこの「平家物語」はびわ徳子の物語として見ていました。

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徳子は安徳帝の極楽浄土への道を願い、ともに入水することを決意します。

 

これは我々現代人の感覚では理解し難いかもしれません。

輪廻転生の概念が時子や徳子にはあり、それを断ち切ることが安徳帝にとって安らかな未来であると信じているのです。

 

解説します。

ja.wikipedia.org

輪廻とは、仏教の概念です。

生前培った業(カルマ=ポイントみたいなもの)は来世になっても残り人にずっとついてまわるという円環の理を表した言葉です。

 

戦に負けて、囚われこの世を憎む未来。

そうなれば、来世においてもその憎しみから解放されず永遠に苦しむことになります。

 

だからここで、何も知らないまま命を散らすことがよい。

そう考えた末の入水でした。

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しかし、徳子自身の命はびわの手によって引き戻されました。

 

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びわが結んだみつあみ熊手にからまることに。

 

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なぜびわは止めたのか。

今まで傍観者だったびわがここで未来に干渉しました。

 

ある意味、この徳子の命を救った代償に目の光を失ったとも解釈できるなと思いました。

 

 

 

その後、徳子は出家し祈りを捧げます。

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ただ祈りを。

 

そこに生きた者たちがいることを。

そして生きた者たちの生涯が安らかだったことを。

 

祈ること。

 

びわの思いと同じです。

 

 

語り継がれる物語

 

祇園精舍の鐘の声、諸行無常の響きあり。娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。奢れる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。猛き者もつひにはほろびぬ、ひとへに風の前の塵に同じ。

 

物語の最期はこの言葉に帰結しました。

 

平家物語は作者が定かではありません。

琵琶法師によって語られた物語だからです。

 

平家のために

 

びわも祈ります。

徳子も祈ります。

その祈りを聞いた誰かも祈ります。

さらにその祈りを聞いた誰かも。

 

こうして思いをのせて語り継がれ、現代まで残ったのが平家物語

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その時その時にこの物語を聞いた者たちが、新たに祈りをこめて次の時代に語り継ぐ。

 

そうやって祈りが紡がれるからこそ、平家はずっと物語の中で生き続けているのです。

あの時代に生きた者たちがいた。

その思いは物語があるからこそ残ります。

 

最終回のストーリーは初めから決まっていたとしても

今だけはここにあるよ

 

オープニングテーマ「光るとき」の一節。

ずっとこの歌詞がひっかかっていました。

 

どんな歴史ものにもあてはまる歌詞ではないからです。

 

平家物語という語り継がれなければ残らなかった物語だからこそ、この歌詞にある“今だけはそこにあるよ”というメッセージが当てはまるのです。

 

誰かが物語を語っている瞬間だけは、その時代に生きた人が生き返る。

 

このアニメが作られたことによって、さらに祈りが紡がれることを期待したいと思います。

 

 

今回の史実

 

壇ノ浦に現れた生き物!!

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これは史実というか、絵巻に描かれていることから登場したイルカです。

 

実際私も壇ノ浦=今の山口県下関関門海峡に行ったことがありますが、イルカが本当にやってくるのかはわかりませんでした(笑)

 

しかし、イルカは超音波を発して潮の流れをつかむため、今回のイルカが流れた方が敗れるというのは間違いではないのです。

www.city.shimonoseki.lg.jp

潮の流れがそのまま戦の流れになる。

 

残酷ですが、最期は天も平家の滅亡を望んだということなのでしょうか。

 

 

おわりに

すばらしいアニメでした!!

 

大満足の1クール。

原作から約900年にして初のアニメ化でした。

 

最初はびわの存在意義ってなんなんだろう?と思いながら見ていました。

今では彼女がいたからこそ、平家物語の価値を味わうことができたと言えます。

 

語られるからこそ残る物語。

この記事を通して、びわから始まった祈りの円環の1つに自分自身もなれていたらなと願うばかりです。