こんにちは。てんすけです。
今回は、ガンダムシリーズ2作目Zガンダムの考察をしたいと思います。
「機動戦士Zガンダム」はガンダムシリーズの2作目の作品です。
ガンダムシリーズという言葉が生まれ、「ガンダム」が現在にも続く人気作品、国民的アニメ、となっていったのはこの「機動戦士Zガンダム」の功績なんです。
ただ、これ、ある意味では「機動戦士Zガンダム」の功罪とも言われているのです。
今回はストーリー解説も含めて「機動戦士Zガンダム」の良いところといまいちな所を述べた後、ガンダムをシリーズにしてしまったとはどういうことなのか考えていきたいと思います。
長くなったので前後編となっています。前編はストーリー解説と良いところを語ります。
「機動戦士ガンダム」見るならNetflixかAmazonプライムがおすすめ。
ここからネタバレあります
ガンダムシリーズを生み出してしまったのは功績?功罪?
結論から書きます。
「機動戦士Zガンダム」によってガンダムがシリーズとなったのは
ファンにとっては功績
原作者(富野監督)にとっては功罪
このように言えると思います。
詳しくは次の章からZガンダムの作品内容と共に解説していきます。
機動戦士Zガンダム 解説
ストーリー解説(かんたんに)
では、まずはZガンダムのストーリーの概略から解説していきます。
ファーストガンダムのストーリーと比べて、かなりわかりづらい感じになっているのか特徴です。
それがよい所でもあり、いまいちな所でもあります。
理由としては、Zガンダムはいわゆる内ゲバの話であり、誰がどの主義の元に戦争を行っているかが分かりづらいからです。
このあたりについて簡単に説明していきます。
①背景知識
1年戦争(地球連邦vsジオンの戦争)から7年。
地球に起こった変化は一言で表すと選民意識の拡大です。
この意識から地球連邦軍内に生まれたのがエリート部隊「ティターンズ」
「ティターンズ」はコロニー出身者を宇宙人と呼ぶなど、苛烈なまでに選民思想を掲げて弾圧を行います。
それに対抗して、地球連邦内にもう一つの派閥ができます。
その名は「エゥーゴ」
「エゥーゴ」の思想はシンプル。
「ティターンズ」への反発です。
つまり、Zガンダムとは地球連邦内の2つの派閥が軍の主導権を握るために起こした戦争がメインストーリーとなっています。
ちなみに、第1話時点では地球連邦軍のほとんどがティターンズ寄りで、エゥーゴは組織の異端分子とされています。
そのため、地球連邦軍があたかも全員敵であるように描かれているのです。
私も初見の時、ここがわからなすぎて途中で投げ出したのを覚えています。
とりあえずこの背景知識を頭に入れておくと物語がぐっとわかりやすくなると思います。
地球連邦軍という前作では味方として描かれた組織がなぜか敵として出てくるというのがZガンダムのわけわからんポイントですよね。
②主人公カミーユとクワトロの出会い
ティターンズの実験施設があるコロニー(グリーンノア)に住む少年カミーユ・ビダン。彼がZガンダムの主人公。
カミーユが、偶然にもティターンズのジェリド・メサともめて、テスト中だったガンダムMk-Ⅱを盗難したことから物語が始まります。
ガンダムMk-Ⅱ
ティターンズのものなので色が濃いブルー。
そして、ガンダムMk-Ⅱを奪ったカミーユは運命の出会いを果たします。それはエゥーゴのクワトロ大尉
赤……い……?
みんなわかるから良いですよね?
この人、シャアです。
ジオンにいたシャアが名前を変えて、地球連邦にいる?
ここもZガンダムのわからんポイントだと思います。
解説します。
シャアはそもそもジオンに属していたのは、父の仇であるザビ家を討つため。
これは「機動戦士ガンダム」最終話で達成されました。
その後、シャアはニュータイプの可能性を探してさまよっていた所、地球連邦軍の中に生まれたティターンズの存在を知ります。
そこで、地球連邦軍の上層部と裏で通じ反地球連邦組織であるエゥーゴを作ります。
この時のシャアは、単純に選民思想を掲げてコロニー出身者を弾圧するティターンズを止めたかっただけ。
カミーユと出会うことで彼の物語もスタートします。
つまり、Zガンダムとはカミーユとシャア、2人の主人公が存在する物語なのです。
この2人の視点に着目して物語を見ていくとよりわかりやすくなると思います。
ちなみに後半はシャアのせいで色々動きます……。
よい所
魅力あふれるキャラ
これはガンダムシリーズ共通のよい所!
中でもカミーユ、シャア、シロッコの3人は特に本作では魅力的に描かれています。
まずカミーユ。
彼は前作の主人公アムロの不安定な部分を強くしたようなキャラ造形。
感受性が強く、激情的で怒りっぽい子供
これが、カミーユの性格です。
だから、すぐプッツンしては殴りかかる。
そんな彼を人類の革新であるニュータイプとして描いたのには、意図がありそうですよね。
(後編でこの部分掘り下げます)
さて、カミーユと出会ったシャア。
本作は彼の成長物語でもあります。
そもそもシャアって昔から「友達」がいないんですよね。
ガルマは暗殺するために近づいていただけ。
だから、シャアは面と向かって反論されたことがなく、なんなら本気のぶつかりあいをしたこともほとんどなかったのです。
そんなシャアにカミーユは、真っ向からぶつかります。
これはカミーユがシャアを知らなくて、目の前にいるクワトロ・バジーナを達観した気に食わない大人と見ているからです。
シャアはこのようにぶつかってくるカミーユと過ごすことで、前作では過激だった思考がだんだんと軟化されて、組織のリーダーとなる器へと成長していったのではないでしょうか?
ただ……
これがZガンダムの面白いところ。
そんなうまくはいかないんですよね。
最後に語るのはシロッコ。
彼はカミーユとシャア、それぞれと対になる部分をもったキャラクター。
シロッコはあくまで傍観者として、この戦争に関わるという今までになかった悪役として登場します。
おそらくこの時代ではあまり描かれたことのないキャラ造形だったのではないでしょうか。
しかも、この時代ではまだまだ社会に浸透していなかった女性がリーダーとなることを理想として掲げていたのというのも特徴。
ただし
この思想を掲げているのも彼の根底には能力主義=エリート主義があるから。
彼の最大の魅力は、賛同する思想と絶対認めてはいけない思想を併せ持った多面的なキャラクター造形なのです。
女性をリーダーに → 女性の中でも能力の高い者だけがリーダーに
などなど、もともとあった思想を彼は自分の良いように言い換えては人に押し付けようとします。
なんだか、我々現代人にぐさっと来るようなキャラクターではないですか?(笑)
彼とカミーユ、シャアがぶつかる物語終盤はセリフ1つ1つが盛り上がりどころとなっています。
と、今回は3人を取り上げて語りましたが、ガンダムシリーズ=群像劇となったのはZガンダムがあったからこそだと思っています。
今にも残るお約束
第1話でのガンダム強奪
通じ合いすぎる者同士の悲恋
第3勢力の介入
主人公機の交代
これらはZガンダムからシリーズの当たり前となった要素です。
主人公機の交代がこの2作目からだったとは驚いたのではないでしょうか?
そして、一番のお約束=当たり前となったのは次のことです。
「宇宙世紀サーガ」という物語の登場
1作目「機動戦士ガンダム」においては宇宙世紀0079年という年号はあくまで物語の舞台が未来であるということを表す記号でしかありませんでした。
しかしこの「機動戦士Zガンダム」が作られたことで宇宙世紀という年号に歴史が肉付けされることになったのです。
シャア、ブライト、ハヤト、そしてアムロと、前作のキャラクターがちゃんと7年経った姿で登場する。
宇宙世紀の1年1年にはそれぞれのドラマがあったということが、ガンダムシリーズに深みをもたせるという仕組みが生まれたわけです。
「機動戦士Zガンダム」は群像劇としてのガンダムを完成させた。
また、最新シリーズまで続くお約束を数々誕生させた。
宇宙世紀サーガを生み出し、作品間の繋がりを強くし、ガンダムは歴史ものという側面を作った。
(前編の)まとめ
前編では「機動戦士Zガンダム」のストーリーと共に、良いところを解説しました。
これらだけを見ると、Zガンダムはガンダムシリーズというものを生み出した偉大な功績を抱えた作品といえると思います。
しかし
これらは裏を返すとシリーズ全体の功罪という側面も持っています。
これに関しては後編で語りたいと思います。
後編はこちら