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(後編)ガンダムをシリーズにしてしまった?「機動戦士Zガンダム」作品紹介&考察

こんにちは。てんすけです。

今回は、ガンダムシリーズ2作目Zガンダム考察の後編をしたいと思います。

 

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前編は↓です。

 

p-tenchan321.hatenablog.com

 

 

前回の記事では、Zガンダムファーストガンダムの世界観を広げて「宇宙世紀サーガ」という歴史ものの側面ガンダムに生み出すという功績を残した、とまとめました。

 

また、ストーリー解説にてZガンダムは地球連邦内の2つの思想の違う派閥が争う話と説明を行いました。

 

では、今回の後編ではまず前編で書いたストーリー解説を覆すところから始めます。

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なぜなら……

前編の記事で解説したストーリーはあくまで宇宙世紀サーガを楽しむ上での前提として知っておいた方がいいもの。

 

今回の記事では、もう少し踏み込んでTVで描かれなかった設定や原作者である富野由悠季監督作品にこめたメッセージを踏まえた考察を行いたいと思います。

 

その考察が、Zガンダムの表層的なストーリーを覆さないとできないのでそこからやるというわけです!

 

そして、Zガンダムが残した功罪について語っていきたいと思います。

そしてそして、その功罪を知ることでもう1度Zガンダムを見たくなるような記事にしていきたいと思います。

 

 

注意

今回の記事は全話見た人向けのガッツリネタバレありです。

 

 

 

 

 

 

Zガンダムストーリー解説レベル2

 

各組織のもつ本当の思想

 

地球連邦ティターンズエゥーゴに分かれて覇権争いをする。

それがZガンダムメインストーリーです。

 

また、後半からは小惑星アクシズに逃れていたジオン残党が組織したアクシズ第3勢力として介入してきます。

Zガンダムは最終的に三つ巴の勢力で争い合うストーリー

そのアクシズの思想も入れると3勢力は下のようにまとめられます。

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なんですが……

 

 

 

 

 

上の図間違っています。

 

 

 

実は3組織とも、この裏に真の目的をもっているのです。

 

 

解説していきます。

 

 

ティターンズの真の目的

まずはティターンズの真の目的から。

 

 

 

ティターンズは、地球出身者がコロニー出身者を差別し、それに対抗しようとしたコロニー出身者らのデモ・ゲリラ活動を鎮圧するために組織されました。

 

 

創始者ジャミトフ・ハイマン

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こう見ると、ジャミトフ・ハイマン地球至上主義者のように思えます。

ただ、この思想は仮の姿。

彼の真意はこうです。

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小説版Zガンダムには明確な記述があるのですが、ジャミトフの真意はティターンズを組織することによって地球圏で戦争を起こすことです。

 

 

地球連邦軍という枠組みの中で先鋭化した組織を作ると、必ず反発(エゥーゴを生むとわかっていた。

 

 

そして内乱を起こす。

内乱によって地球圏の経済麻痺させる。

 

 

すると、地球で経済活動ができなくなったら人々はコロニーに行って生活するしかなくなる。

晴れて、地球に住む人はいなくなるというわけです。

 

これが、ジャミトフがティターンズを組織した本当の理由です。

 

実はこれは小説版の設定ではなく、本編でもちゃんと語られています。

 

第11話「大気圏突入」でのメッサーラを見たエマ・シーンのセリフ

ティターンズがあんなMSを開発していただなんて。あの組織は単なるザビ家の残党狩りが目的なのではないわ。”

 

このように30バンチ事件を見た後すぐに、ティターンズは残党狩りの組織ではないことが早くも示唆されています。

さらに……

 

第21話「Zの鼓動」でのマウアーとジェリドにティターンズエゥーゴの目的について語るシロッコのセリフ

“ジャミトフは地球にひかれている人々を根絶やしにするために地球連邦をティターンズにした。戦争をして地球の経済が徹底的に麻痺すれば、地球上の人間はいなくなる”

 

このように、ジャミトフがティターンズを作った目的は、地球に住む人間のためなどではなく、地球に住む人間を宇宙へと追いやるためだったことが本編の描写からもわかります。

 

エゥーゴの真の目的

次にエゥーゴ

エゥーゴ反地球連邦組織として結成しました。

 

反地球連邦とありますが、あくまでティターンズへの反発から生まれた組織であるというのが特徴です。

そう、地球連邦自体に反発しているわけではないのです。

 

すなわち、エゥーゴとはコロニー出身者が地球連邦という統治機構を乗っ取るために生まれた組織。

 

ティターンズあるから存在する組織なのです。

 

ここでティターンズ結成の真のねらいである地球圏で戦争を起こし経済を麻痺させるが効いてくるのが分かると思います。

 

つまり、エゥーゴティターンズと戦争をするために生み出された組織であり、目的はお互い同じ。

 

これについても、本編で明確に描写があります。

 

第21話のマウアーのセリフから

“それでは表面的には(ティターンズの目的は)エゥーゴの目的と同じように見えます。”

 

ティターンズの目的が語られたシーンでエゥーゴと根底では目的が同じであると示唆されています。

 

第24話「反撃」でシャアと共にダカールへ向かうエゥーゴの指導者ブレックスのセリフ。

“無駄は承知で政治家達の宇宙移民を提案するか。”

 

このように、統治機構である地球連邦自体を壊す気はまったくなく、宇宙にとにかく人を追い出すことが目的であると明言されているのです。

 

地球から人々を追い出し、すべての人がコロニーで生活する世を作ること。

これが両組織が生まれた理由なんです。

 

 

アクシズの真の目的

最後にアクシズ

 

アクシズ小惑星帯(アステロイドベルト)に逃れたジオン残党の組織。

クワトロはアクシズのことをまるでジオンの亡霊と称していました。

 

そのため、アクシズの思想はザビ家を再興ジオン公国の復興

 

 

 

ではなく

 

 

シャアやセイラの父ジオン・ダイクンが提唱した、人類の地球からの脱却です。

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正確には、最初からではなくハマーン実権を握った時からこうなったといえます。

 

第33話「アクシズからの使者」でのハマーンのセリフ

“ミネバ様はザビ家の後継者としてスペースノイドの頂点に立たれるお方……。”

 

これに対してシャアは激高します。

さて、なんでシャアが怒ったかが大事です。

 

理由は、であるジオン・ダイクンの思想をあたかもザビ家が提唱したかのようにミネバにハマーンが伝えていることがわかったからなんです。

つまり、ハマーン本質としてはザビ家再興アクシズの兵たちの士気をあげるための口実

 

真の狙いは、地球から人々を追い出し、すべての人がコロニーで生活する世を作ること=全員ニュータイプになる

 

というジオン・ダイクンの思想を実現すること。

 

 

 

 

気が付きましたか?

 

 

 

 

なんとティターンズエゥーゴアクシズ真の狙いは同じだったのです。

 

しかもその根っこにあるのは、ジオンが生まれたきっかけであるジオン・ダイクンのニュータイプ

 

これが、Zガンダムのストーリー解説レベル2(ちょっと掘り下げた部分)です。

 

各組織の真の思想下敷きに次の考察を述べていきます。

 

 

Zガンダムの功罪

 

結論から言います。功罪の正体は以下の通りです。

 

ニュータイプ論(ファーストガンダム)に縛られる人々(オタク)を作ってしまった

 

ティターンズエゥーゴアクシズの真のねらいは実はニュータイプ論から端を発した、地球から人を追い出してコロニーに生活圏を移すことでした。

 

これは富野由悠季監督がZガンダムにこめたメタファーであると推測できます。

 

なんのメタファーなのか

 

それは機動戦士ガンダムからZガンダムに至るまでの富野由悠季監督の背景から考えられます。

 

 

まず、もともと富野監督は機動戦士ガンダム」の続編など作るつもりはなかったと言っています。

 

 

機動戦士ガンダムでのスポンサーを気にした制作から一点、富野監督は以下のような作品を生み出しました。

 

イデオン

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ザブングル

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ダンバイン

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エルガイム

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これらは、一部の富野ファンというべき層には受け入れられて今なお名作とされている作品達です。

 

しかし、どれもガンダム程のヒット飛ばせませんでした。

 

そこで、しょうがなく作ることになったのが「機動戦士Zガンダム

ガンダムを終わらせるという意味でアルファベットの最後Zを冠した作品を生み出しました。

 

そのため、Zガンダムにはふんだんにファーストを否定するような要素が描かれています。

 

カミーユハマーンに見るニュータイプが通じ合うことの否定

 

人工的なニュータイプ=強化人間の登場

ニュータイプは初めからいないことを示唆する要素

 

カミーユ(最高のニュータイプ)の精神崩壊

 

 

そして、3つの勢力の暗喩

 

ティターンズエゥーゴアクシズも結局根底にあったのは前作の敵役であるシャアの父ジオン・ダイクンの思想

 

富野監督がZガンダムで描かれた戦争にこめたメタファーは、ファーストガンダムに囚われた人たちが勝手に内輪でもめているということを表しているのではないでしょうか。

 

それほどまでに、ファーストガンダムに囚われた人が多かったということです。

 

戦争という舞台の中で、暴力の否定人間讃歌を描いた「機動戦士ガンダム」がポッと出たニュータイプによってアニメ通の中だけで話題になってしまう。

 

そんな状況は、アニメ=一般大衆のものという信条をもつ富野監督の望むものではありません。

 

※富野監督はオタク嫌いで有名

 

オタク達の論争を暗喩してガンダムを終わらせるために作った「機動戦士Zガンダム」でしたが、結果的にはさらに論争を過熱させるだけでした。

 

ガンダムオタクたちはさらに先鋭化し、ファーストを神格化していきます。

 

こうなったのを見て、Zガンダムのブルーレイボックス発売の際に富野監督ははっきり言っています。

 

Zガンダムは失敗作だ。」

 

これは、自身の作品群の一つだった「機動戦士ガンダム」が神格化され、自分の手から離れていってしまったきっかけを作ったのが「機動戦士Zガンダム」であったからだと思います。

 

 

この宇宙世紀ガンダムサーガを神格化する動きはファンたちによってさらに過熱していきます。

 

この後、登場する「機動戦士ガンダムZZ」を経てそれは「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」で最高潮に達します。

 

 

これが「機動戦士Zガンダム」が生み出した功罪です。

 

 

 

 

おわりに

 

今回は「機動戦士Zガンダム」の功罪富野由悠季監督という作家性も含めて述べました。

 

なんだかZガンダムが不幸な作品のように感じたらすみません!

 

前後編になってしまったように、見れ見るほどいろいろな考えが生まれるすばらしい作品です。

たとえ監督が嫌いだと言っても、私は何度も見るほど好きです。

 

さて、ファーストガンダムに連なる宇宙世紀サーガがこれで生まれたわけですが、ガンダムオタク達はどんどんこのサーガを広げていこう広げていこうと富野監督を追い詰めるようになっていきます。

 

富野監督にとっては呪縛ですね。

 

その後、富野監督を呪縛から解き放つ衝撃的なガンダムが登場するまではこれは続いていきます……。

 

 

 

早くその衝撃的なガンダムの話がしたいです。