少年の心をもった大人

ボードゲーム、カードゲーム、アニメなど少年のための記事と、ガジェット、生活改善など大人のための記事が入り混じってます。

MENU

ゼロベースで平和を考える「新機動戦記ガンダムW」作品紹介&考察

こんにちは。てんすけです。

今回は「新機動戦記ガンダムW」の紹介です。

 

 

1番好きなガンダム作品は何?

 

と、聞かれた時に1個は無理なので複数挙げる中1つ必ず入る作品です。

 

そして、ガンダムシリーズ内の位置付けとしては「機動武闘伝Gガンダム」に続きファン層を広げた偉大な作品であるとも言えます。

 

また、物語のテーマは「機動武闘伝Gガンダム」とは反対に「機動戦士ガンダム」以来ずっと描かれてきた「戦争」を突き詰めて「平和はどのようにしたら作ることができるのか」といったことを描いています。



今回の記事では「新機動戦記ガンダムW」のストーリーやその魅力の紹介、物語に込められたテーマについて考察していきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

ガンダムWストーリー解説

AF(アフターコロニー)195

A.C.195年、地球圏統一連合の支配に反目する一部のコロニー居住者による地下組織が「オペレーション・メテオ」を発動させる。それは流星に偽装した5機のモビルスーツ(MS)「ガンダム」をパイロットと共に地球に降下させ、破壊活動を行わせるというものである。しかしこの作戦は事前に「M作戦」の名で連合及びOZに察知されていた。このため工作員の一人ヒイロ・ユイの乗機は地球への降下中に、OZの攻撃輸送機との遭遇戦で海に落下、その後リリーナ・ドーリアンと出会うこととなる。そして互いを知らぬまま地球に降下した他の工作員たち、デュオ・マックスウェルトロワ・バートンカトル・ラバーバ・ウィナー張五飛も、ガンダムパイロット同士や様々な人間と出会い、時代を動かしていくこととなる。

Wikipediaより

 

 

いきなり登場するイケメン5人。

かっこよすぎる5体のガンダム

 

そして、仮面のライバルキャラ!



彼らそれぞれの視点で、地球と宇宙の対立戦争が描かれます。

時に共闘したり、時に裏切ったりと。

 

明確な味方と敵で分かれるのではなく、運命に翻弄されるがごとく様々な戦場を5人は経験することとなります。

 

 

と、あらすじを紹介するよりも「新機動戦記ガンダムW」はまず1話だけ視聴していただくほうが早いです。

 

なぜなら見た8割の人が続きが気になってしょうがくなる内容だからです!

 

 

衝撃的すぎる第1話

 

とりあえず見てください。

で、感想聞きたい!


www.youtube.com

 

 

注意

ここからの内容は「新機動戦記ガンダムW」第1話のネタバレを含みます。

 

 

 

 

 

 

 

 

流星に偽装されたガンダムで地球へと降り立った主人公ヒイロ・ユイ



 

 

しかし、OZのゼクス・マーキスの攻撃により、ウイングガンダムごと墜落することになってしまいました。



 

 

そんなヒイロを助けたのが、ヒロインのリリーナ

2人の出会いから物語は始まります。

 

早速工作活動を始めるために、ヒイロはリリーナと同じ学校へと潜入して身を隠します。

 

すると、クラスの人気者リリーナは自身の誕生パーティーにクラスメートとしてヒイロ招待します。

 

さて、ヒイロは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

!?

 

ヒイロは招待状をやぶき捨てました。

 

涙を浮かべるリリーナへヒイロはさすがにひどいと感じたのか、涙をぬぐい声をかけます。

 

 

 

 

 

お前を殺す

 

!?

 

 

 

 

デデン!!!!

 

そしてEDへ。

 

 

 

 

 

 

意味がわからない。

 

なんで主人公ヒロイン殺害予告するところで終わるのか。

 

私は当時小学生でしたが、続きが気になりすぎてこの後に放送されていた超力戦隊オーレンジャーの内容なんて入ってきませんでした。

(小学生ならオーレンジャーのがメインのはずなのに……)

 

 

この時点で続きが気になった方。

ぜひ全話見てください!!!

 

 

注意

ここからの内容は「新機動戦記ガンダムW」全話のネタバレを含みます。

 

 

 

ストーリーテーマ考察

 

 

ガンダムは英雄ではない

 

本作は5体のガンダムそのパイロットを中心に物語が展開します。

 

宇宙世紀」シリーズのガンダムと違うのは、ガンダムが圧倒的な性能をもっているMSではないという点です。

 

後半では、ガンダムより強力な量産機(ザクみたいな存在)も出てきて、正直主役機という立場がなくなってしまうほど。

しかも、ヒイロの乗るウイングガンダムを中心にガンダムがめっちゃ雑に扱われるのも本作の特徴。

 

 

 

めっちゃ自爆します。

 

このように、ガンダムはあくまで1兵器としてしか扱われないのです。

 

これは、本作がもつ反戦というテーマを描くためでもあり、宇宙世紀」シリーズへのアンチテーゼを描くためでもあると考えられます。

 

宇宙世紀」シリーズでは、主人公ガンダムへと搭乗することが当たり前でした。

 

ここもガンダムWでは崩しています。

 

5体のガンダムはそれぞれのパイロットの専用機ではなく、入れ替わり立ち替わりで乗り換えが発生します。

 

さらに変わっているのが、主人公機とも言えるウイングガンダムの後継機ウイングガンダムゼロへの乗り換え

 

ウイングガンダムゼロ史上最もパイロットが変わったMSと呼ばれるほど多くの人物が乗っています。

ウイングガンダムゼロ 後期主人公機

 

初めてが闇落ちしたカトルですからね。

 

ヒイロウイングゼロに乗るのは、自身が乗っていたエピオンと交換という形で。

 

ガンダムエピオン ラスボス機(でも最初はヒイロが乗る)

 

このように、本作ではガンダムである」ということを特別なものとしていないことから、少なからずガンダムヒーロー然として扱っていた宇宙世紀」シリーズへのアンチテーゼとしています。

 

 

 

 

 

完全平和を作るのは民衆1人1人

 

さて、本作のテーマですが至ってシンプル

 

反戦です。

 

本作の中では、完全平和主義とはどうしたら作れるのか?について様々なキャラクターが考えをぶつけ合います。

 

正確にはガンダムパイロット5人以外のキャラがぶつけ合います。

 

なんでこのような構図になっているのか。

 

これは最終話に、ヒイロ・ユイゼクス・マーキスに言い放った一言がわかりやすいです。

 

 

ゼクス!強者などどこにもいない!人類すべてが弱者なんだ!俺もお前も弱者なんだ!」

 

宇宙世紀」シリーズではシャア・アズナブルを中心に、人間はニュータイプとオールドタイプ、統治する者とされる者、強者弱者といった二元論で語られることが多かったです。

 

それを再現するかのように本作でも、ガンダムパイロット以外の登場人物の間で、「統治する存在がどうあるか」という議論が繰り広げられます。

 

ただし、主人公サイドである5人はこの議論には加わりません。

 

ヒイロのライバルであるゼクスシャアがイメージのキャラクター。

完全平和主義を唱えた王国の王子であり、民衆の下衆さに嫌気が差し、武力によって戦争を終わらせようとしていたキャラです。

 

彼に対して、ヒイロ上記のセリフを放ったのです。

これはヒイロの劇中における成長を表すものであると同時に、本作のテーマが凝縮されたようなセリフだと感じます。

 

このセリフが表すように、劇中では民衆の力によって戦争が動くシーンが数多く存在します。

 

ラストもまさにそう。

 

コロニー落としの脅しに屈しなかったのは団結する民衆

自らコロニーの人々が完全平和への道を歩もうとした時に戦争が終わったのです。

 

新機動戦記ガンダムWとは、ニュータイプをはじめ選ばれた人間だけが平和を作るというヒーロー論を否定し、民衆一人ひとりが当事者意識をもって立ち向かうことが大切であるということを描いたガンダムなのです。

 

ある意味、主人公は民衆

 

機動武闘伝Gガンダム」に続き、宇宙世紀」シリーズを否定したガンダム

 

Gガンダムと違うのはとても泥臭い点ですね。

少年が主人公ということもあり、彼らはうまくは立ち回れません。

裏切られたり、間違えたり、様々な過ちを犯します。

 

ただし、一貫しているのは彼らをその行いを正当化することなく、自分たちの信じるために生きました。

 

この点が、「新機動戦記ガンダムW」の好きなところ。

 

ビジュアルで決めつけるなかれ!

シリーズトップの泥臭く、テーマに真摯なガンダムなのです!

 

 

 

 

 

少年兵問題を補完するOVA

 

本作は、シリーズの中でも特に勇者ロボット好きな若年層女性層人気を獲得したと言われています。

 

ちなみにガンダムWアメリカで初めて放映されたガンダムでもあります。

 

そんな人気を受けて、本作はOVA映画化も果たしています。

(映画はOVAを再編集したもの。)

 

 

ただ、ファンサービスというOVA化ではなく、本作の続編ありさらに取りこぼした要素を補完する内容となっています。

 

補完された要素、それは少年兵問題です。

 

本編では5人のガンダムパイロットの内面の掘り下げは実はさほどされませんでした。

 

その分をこのOVAで行っているのです。

戦争が終わり、改めて自分たちが戦った理由を考え直すという形で。

 

5人に共通して言えること。

それは、戦いたくないということ。

 

当たり前です。5人は15歳そこらの少年です。

エージェントとして戦う年齢ではありません。

 

それでも戦う。戦いたくないから戦うという矛盾

 

これをどのように描いたのか。

ぜひこちらは劇場版を見てほしいと思います。

 

 

私は必ず毎年見返す作品です!!

 

 

 

おわりに

 

新機動戦記ガンダムW」は「機動武闘伝Gガンダム」という強烈な爆薬で「宇宙世紀」シリーズを破壊した後、改めてガンダムというものを再構築するために作られた作品のように思います。

 

また、「反戦」についての回答を「民衆一人ひとりが当事者意識をもつこと」としたのは、本作が作られた時代背景もあってだと思います。

 

阪神大震災地下鉄サリン事件と1995年〜1996年は人々の当たり前が破壊された痛ましい事件が起こった年。

 

強大な力をもったヒーローが助けてくれるという幻想はなくなった時代です。

 

だからこそ、自分たちそれぞれが困難に立ち向かうという意識をもたなければならない。

 

そんなメッセージが込められたのではないかと思います。

これが奇しくも新たな時代のガンダムのテーマと合致して、今日に至っています。

 

新機動戦記ガンダムW」もまた、ガンダムを今日まで続くコンテンツとしてくれた偉大なる作品です!!

 

 

私も未だにどのガンプラ作るか迷ったらW系のものを作っています!