こんにちは。てんすけです。
生まれてからずっとJUMPっ子!!
ジャンプ黄金期の傑作「スラムダンク」の最新映画が公開されました。
ジャンプ黄金期とは、ドラゴンボール、幽遊白書、スラムダンクが同時連載されていた時期。
その世代とは若干ズレてはいるのですが、スラムダンクは小さい頃にアニメ、原作共に大好きでした!!
今回はこの冬についに公開した新作映画「THE FIRST SLAM DUNK」の感想を、ジャンプファン、スラムダンクファン、映画ファン目線で書いていきます。
ここからは、映画「THE FIRST SLAM DUNK」及び漫画、アニメのネタバレがあります。
自分で最高の「スラムダンク」を作る
まず、強調しておきたいのが本作は絶対に漫画「スラムダンク」を全巻読破しておくことが必須であるということ。
なぜなら、今回の映画は原作の漫画をテキストとして利用することが前提となっている作りであるからだ。
本作は原作の最終エピソード、インターハイでの湘北高校VS山王工業高校の試合をまるっと描いている。
原作ファンなら待望の映像化である!!
湘北高校メンバーと山王工業高校メンバーがそれぞれ歩み寄ってくる瞬間、テンションブチ上がり!!
一切のテロップなしで登場したにも関わらずである。
このように、キャラ紹介すらも省いており、ましてやバスケットのルールの説明なんか一切なし。
原作読んでいる前提、バスケットのルール知っている前提で、ただひたすら試合が進んでいくのだ。
攻めすぎである。
同じジャンプ映画の昨年末公開「呪術廻戦0」と比較するとこの容赦のなさは一目瞭然。
バスケットのルールも容赦なくわかっている前提で進みます。「インテンション」とか初見だと絶対わからないと思います。
だが、これがいい。
いえ、これでいい。
だって、みんな原作読んでいるんだから。
なぜ桜木花道が坊主なのか、三井寿のスタミナが無いのか、流川楓が沢北に対抗心を異常に燃やしているのか、ゴリ赤城がこの試合に何を賭けているのか。
これらはみんな知っているのが当たり前。
だからこそ、本作には間が効果的に用いられる。
また、そこで余計な心理描写をはさまず、すべて映像でキャラを描いているのだ。
その間に自分が知っているキャラクターの背景を投影する。
1つ例を挙げると、ルーズボールを取りにいった桜木。
ここで一瞬三井の顔がカットイン。
私は三井と安西監督の出会い。全中のシーンを思い出した。
だからこそ、この後の3Pシーンでの彼の表情の真の意味を味わえるのだ。
多分、今回の映画を見た人それぞれにこういったオリジナルの心理描写があるだろう。
そういう映画なのだ!
そうやって、自分でオリジナルの山王戦、オリジナルの「スラムダンク」を作り味わえる。
こんな最高な映画体験ない!!!
ちなみにこういったテキストを前提とした映画体験ができる映画として代表的なものはスタンレーキューブリックの「2001年宇宙の旅」。
この映画はまずテキストなしで視聴する必要がある。
なぜなら、これは映画で映像化されているのが原作のどの部分なのかを知らなければならないからだ。
しかし、「スラムダンク」の原作読者ならば、今回の映画で描かれる山王戦は確実に知っているだろう。
だからこそ、一切説明なしでスタートできるのだ。
ただ、これだけでは物足りないと感じるファンもいる。
そこで宮城リョータを主軸としたストーリー展開に、本作は原作との差異をつくった。
これは大英断だと思いました。特に桜木と晴子の関係を切ったのとかもすごくよかったです。
ジャンプの読み切り漫画「ピアス」を彷彿とさせる宮城の過去エピソード。
彼の生い立ちから、家族との絆、彩子との約束、そして深津との因縁。
これを原作よりも色濃く描いているのだ。
まさに原作ファンが見たかった部分。今、新たに紡がれた「スラムダンク」のエピソードなのである。
このように、本作は「スラムダンク」読者に対する最大級のプレゼントだ。
残り10秒の応酬を無音声で行う所なんか、誰もが想像していた=見たかった演出なのではないだろうか。
そういったものをバンバン見せてくれる。
本作で「スラムダンク」がさらに好きになった!!
今「スラムダンク」を映画にする意味
褒めまくった反面、少しだけ批判も述べる。
それは、本作は新規参入をまったく意識していないという点。
最近のアニメ、特にジャンプアニメは必ず新規参入を入れるための要素が入っている。
つまり、原作をそのままアニメ化するのではなく、原作を読んだことが無い人向けのオリジナルシーンの挿入による説明を前提としている。
例えば、わかりやすいのが今年公開のビッグネーム「ドラゴンボール」と「ワンピース」だ。
どちらも、各キャラクターの説明を丁寧に行った上で物語が進む。
また、原作がある「呪術廻戦0」でもこれは同様。
夏油傑や、呪術高専の説明はめちゃくちゃ丁寧だった。
これが無いと、新規参入は見込めないからである。
それを「スラムダンク」ではバッサリと切った。
なぜか?
もう「スラムダンク」に新規読者は必要ないからである。
これと同様の作品が庵野秀明監督による「シン・エヴァンゲリオン」
あれもエヴァシリーズを見ていない人が見ると完全においていかれるつくりになっている。
だからこそ、本作は原作読破前提で作ることができたのだ。
「スラムダンク」ファンの私には最高すぎるほどの割り切り方だ!!
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とは、片付けられない。
ずっとアニメファンでいたい自分からすると、ちょっとこれは絶賛できないポイント。
なぜなら、原作ファンとこれからファンになる層とどちらがパイが大きいか考えてしまうから。
原作ファンが喜ぶのもいい。
しかし、新しいファンが入ってこないことには、その業界に広がりがない。
私が大好きな「ドラゴンクエスト ダイの大冒険」は、原作ファン、新規ファンどちらも120%満足させたとんでもない作品である。
このアニメがあったからこそ、今なおシリーズのスピンオフやゲームも続いている。
こういった新規取り込みの要素が無いと私は大手を振って応援はできないのだ。
じゃあ、どうすればよかったか。
映画自体をもっと親切設計にしろとは言わない。そうしたら本作の魅力がかき消えてしまうから。
2年間くらいかけて最初からアニメにしてほしい。
これだけ。
なんならこの記事で一番言いたいことだ。
ここまでのクオリティでできるなら、なんで映画にしたのか。
なんでアニメシリーズにしないのか。
毎週盛り上がりながら楽しませてくれないのか。
アニメとして長い時間をかけて溜めを作れれば、すべての人が今回の原作既読者たちと同じ体験ができた。
とにかくこれが本作唯一の不満点である。
おわりに
この年末にとんでもない傑作を見ることができた!!
最高に満足いく映画体験!!
しかもこの映画、すごいのがこの記事で述べた構造上、何度でも楽しめるようになっている。
私も年末年始もう一度見て、さらにスラムダンク愛を深めていきたい。