こんにちは。てんすけです。
今回の記事は9/23公開の韓国アニメ映画「整形水」の作品紹介とネタバレ感想です。
あらすじ
小さい頃から外見に強いコンプレックスを持ち、人気タレントのメイクを担当しているイェジ。タレントからは罵倒され、ふとした偶然で出演したTV番組では、自分への悪意ある書き込みで自暴自棄に。そしてある日、巷で噂になっている“整形水”がイェジの元へ届けられた。顔を浸せば、自らの手で自由自在に思い通りの容姿へと変えることができてしまう奇跡の水。後遺症も副作用もない。美しくなりたいという欲望に駆られ、イェジは“整形水”を試すことを決意する。全く新しい人生を歩むために。それからしばらくして、周囲で不審な出来事が起こり始める…。
(公式サイトより)
ネタバレなし感想&みどころ紹介
予告編の期待を裏切らない面白さでした!
最初は、美にとりつかれた主人公が騙されて殺人とかするのかな〜。
もっともっと二転三転します。
スリラー・サスペンスとしても一級品の面白さです。
また、無駄な描写を徹底的に削ぎ落とすことで上映時間は驚異の85分。
これ、後で知ったんですが鑑賞中はこんなに短いとは思わないほど内容の満足感が半端なかったです。
さらに、CGアニメーションのなめらかさ。
私は個人的にCGアニメーション苦手なんです。なんか不自然さが目立つというか表情の表現がわざとらしいというか。
そんな感じ全くしないセル画と見紛うほどの美しさ。
日本のアニメやばいぜ!!
韓国のアニメに負けないように!!
見終わった後、強く思いました(笑)
今年見たアニメの中でダントツ1位の域です。
85分と見やすく、その上で密度の濃いストーリーが楽しめますのでぜひぜひこれから劇場でお楽しみください!
ここからはネタバレ感想です。
未視聴の方はご注意ください。
ネタバレ感想
行き過ぎたルッキズム
美は人を狂わせる。
しかし、美は人生を変える。
残酷すぎる真実だ。
まず、鑑賞後に思ったことがこれです。
主人公イェジは顔の醜さを理由に、これまでの人生でいくつも不利益を被ってきました。
このあたりの描写は、私自身も経験があるなと見ていて辛かったです。
だから、イェジの顔を変えたいという気持ちはよくわかります。
ルッキズム=外見至上主義を憎んでいました。
整形水を手に入れた後のイェジの気持ちもわかりますね。
イェジはこれまで馬鹿にしていた人へ見返すことに全振りします。
メイクとして付いていた芸能事務所に入ったり、コンビニ店員や警備員をからかったりと今までの鬱憤を晴らすがごとく美を利用しまくります。
ただ……
結局これやり続けたところでイェジは満たされないんですよね。
バカにしていた相手を見返したところで、一瞬気持ちよくなりますが、結局日常に戻りその感情はなくなります。
SNSでいいねたくさんもらうとかわかりやすい例ではないでしょうか。
そんなことを繰り返していると、自分の欲望が膨らむだけで「もっと」「もっと」と求めていくだけです。
結果、イェジは整形水頼りになり失敗を招きます。
行き過ぎたルッキズムは何も生み出さず何ももたらさない。
では、イェジはどうしていれば自分の人生に満足したのか。
無いものをねだるのではなく、あるものを大切にすることだと思いました。
彼女はすばらしい瞳を持っていました。
メイク技術もあります。
ありのままを愛する気持ちさえあれば、整形水に頼らなくても幸せを感じることのできる人生を歩めたのではないかなと思います。
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いや、そんな簡単にいくかよ。
ネットミームになっている「イケメン無罪」にもある通り、外見が良ければ大抵のことはうまくいきます。
私は絶対に反対だし、認めたくないですが、残酷なことにルッキズムとはある程度社会に存在します。
だから、もし整形水が現代にあったなら多くの人が手に取るでしょう。私も取ると思います。
だって、簡単に自分の人生が変わるんですよ。
整形水を薬物ととらえると、私は他人事ではないなと感じて見ていました。
私はボディビルよりの筋トレが趣味で日々トレーニングをしています。
コンテストに出ると、毎回思い知らされます。圧倒的な実力差を。
その時、何度ステロイド系の筋肉増強剤を用いたいと思ったことか。
練習に必死に取り組んでいるのに超えられない壁にぶち当たる。
薬でさらにレベルアップできるならほしい
そう思ってしまうことは至極自然だと私は思います。
絶対しませんがね!
だからこそ、整形水の魅力が本当にわかりました。
また、それを使った後の代償についても容易に想像が付きました。
簡単に変わるものを知ってしまったら、人は努力を捨て去る。
もうなかった時には戻れない。
整形水というものの恐ろしさの本質はそこにあるのだと思いました。
鋭いメスで韓国の整形文化をえぐる
韓国では整形が日本よりもより一般的になっています。
整形大国とも言われるくらいです。
最近では、コロナの補助金で整形する人が増えたというニュースが報じられていました。
韓国の映画文化として、「反体制」「反伝統」というものがあります。
本作で描いたのは、手軽な整形によって不当に稼ぐ闇への批判。
日本でも報道されましたが、韓国では整形の広まりと共に下のようなことが社会問題となっています。
まさに手軽に整形したいという人を食い物にする闇です。
こういった骨太なメスの入れ方は大好きなので、本作の作品としての質の高さに感服いたしました。
ジフン考察
本作の狂気の象徴であるジフン。
初登場からは想像できませんでしたね。
いや、黒幕だろうなとは思ってました。
まさか、整形&性転換した姿だとは……。
さて、少し考察の余地があったのは彼(彼女)の手口。
おそらくイェジに整形水を売りつけた施術者も彼の手先なのでしょう。
芸能事務所⇔ジフン⇔施術者
(整形水の売上は芸能事務所の運営費用?)
このように組織的に、ジフンが自分のものにしたい体のパーツを持つ者を探し当てていたのだと思いました。
もしかして、これって韓国芸能界の闇を批判しているのかなと邪推したり……。
さいごに
年間で何本もアニメ映画を見る私ですが、今回の「整形水」はめちゃくちゃ満足です!!!
大好きな作品!と言いたい気持ちと、ジャパニーズアニメーション負けるな!という気持ちが戦っている最中ですね。
今後も、アニメ映画のレビューガンガンしていきたいと思います。
※緊急事態宣言中に見たアニメ映画の感想も順次アップしていく予定です。