こんにちは。てんすけです。
週刊少年ジャンプの人気作品「呪術廻戦」の劇場版がついに公開されました!
私も先日劇場で見てきました。
率直な感想は……
最っっっ高っっっ!!
初見、原作ファン、アニメファン、映画ファン
全方位に向けて丁寧に作られた作品
でした。
演出面や音楽面もストーリーに合っていて夢中になって見ることができた傑作です。
今回の記事では、以下のようにこの「呪術廻戦0」を掘り下げていきたいと思います。
①もう少し踏み込んだネタバレ感想
②原作やアニメ未見の方からすると分かりづらい描写の解説
③映画に描かれた部分をヒントに原作の考察
現在連載中の内容からのネタバレはありませんが、アニメ以降のコミックスの内容からのネタバレはありますのでお気をつけください。
ネタバレ感想
ここが良かった
まずは主題歌が最高でした。
乙骨とリカの夏油戦でのセリフがサビになっている「一途」
最後にもう一度力を貸して
その後はもう何もいらないよ
僕の未来も 心も 身体も
あなたにあげるよ 全部全部
第0巻を読んだのがだいぶ前だったこともあり、映画を見るまで全く気づきませんでした(笑)
「呪術廻戦0」時点での乙骨のすべてを歌っているこちらの曲、今回の劇場版にぴったりでした。
King Gnu最高!ここまで映画に対して完璧な楽曲提供してくれて!
ただし
それだけじゃないのが今回の主題歌についての良いところ。
もう一つの主題歌「逆夢」はなんと完全に原作ファン向けなんです。
乙骨とリカの「呪い」の物語でもあり、「愛」の物語である本作をしっとりとしたメロディとともに綴った本楽曲。
「一途」が夏油戦までの乙骨の歌であるのに対し、「逆夢」はリカと決別し仲間とともに呪術師として行きていく乙骨の気持ちを描いた歌であるのがよかったです。
今後の乙骨を知っている人にとっては、唸るような歌詞がいっぱい。
エンドロール始まった瞬間、私は心の中でうなずきまくりながら聞いていました。
次に、かっこよすぎる演出。
黒閃やばなかったですか!?
乙骨の刀はいわずもがな……。
ななみんがすごい!!!
あ、黒閃4連続ってこの時だったのねと。
漫画だと0巻時点では黒閃の設定自体がなかったので、今回映画として描かれて嬉しかったです。
これにプラスして、アニメファン向けに京都高の面々が京都の百鬼夜行と戦う場面が描かれました。
事前情報なかったのでめちゃくちゃ驚きましたよ!
メカ丸かっこよかったよメカ丸。
原作では京都の状況がまったく描かれてなかったので、そっちはブラフだったのかなと思ってましたが、割とガッツリと呪霊送り込んでたんですね。
※呪術廻戦本編において、東堂が百鬼夜行において特級を祓ったことが語られています。
多分、あの大きいやつ。
どんな立場から見ても、わかりやすく派手に呪術廻戦の魅力が味わえるという点が本作の魅力であるといえます。
ここがいまいち
今作、良いところが多すぎたので正直あんまりないですが……
一点あるとしたら、声優。
乙骨役の緒方恵美さん。
これは原作の芥見先生からの直々の指名により決まったそうです。
ソースはこちら
次の点からも誰がどう見ても乙骨のモデルは碇シンジです。
・自身の内側にこもる性格
・関わりの深い女性が自身の守護となっている
・戦況を左右する強大な力を隠し持っている
ただし!!
声まで一緒にする必要ありましたか?
シンジは乙骨のモデル
それはわかっているんですが、どうしても引っ張られるんですよ。
「死んじゃだめだ。」
とかは正直やりすぎ感ありました。
パロディの域に入ってしまうとせっかくのシリアスなストーリーが崩れてしまうのではと若干ヒヤヒヤしていました。
そうは言っても、さすがの緒方さん。
乙骨とシンジを差別化して演じていたのもはっきりとわかりました。
そのため、この声優の話はあえて言うならのいまいちポイントです。
リカ役の花澤さんなんて鳥肌ものの演技でしたしね。
分かりづらい描写の解説
乙骨の能力解説
劇中で説明もなく、これが1番分かりづらいと思ったので解説します。
そもそもなんですが、「呪術廻戦」では呪力を原動力に術式を動かすという仕組みで全員が戦います。
呪力=MP
と、捉えるとわかりやすいでしょうか。
呪力が多ければ多いほど、たくさん技を打てるというイメージでいいと思います。
呪力は自身がもっているものを使う術師がほとんどですが、乙骨の場合はリカがもつ呪力を自身に流し入れて戦います。
リカは特級禍呪怨霊であり、夏油が呪いの女王と称していたほどの大物です。
特級禍呪怨霊は、夏油が使役していた呪霊とは比べ物にならないほどのもつ呪力をもちます。
リカのもつ呪力はほぼ無限。
それは、リカが現世(乙骨)に強い意思で縛られていることも意味します。
つまり、リカを縛り付けている乙骨にはその無限の呪力が流れ込むのです。
愛憎が本人に行く、というイメージ。
呪力は電気と例えましたが、電気の総量が多ければ多いほど、ただ刀を振っただけで敵に与えるダメージは多くなり、自分へのダメージは鎧のようにまとった呪力で防ぐことができます。
だから、リカが顕現した際は乙骨の戦闘力は跳ね上がるのです。
簡単に言うと、攻撃はすべてクリティカルでダメージは常に半減。
チートですよね。
それだけじゃありません。
乙骨の術式は無条件の術式(能力)コピーです。
無条件ということは術式をコピーする際の呪力の上限が無いのです。
具体的なケースで説明します。
乙骨は狗巻の呪言を夏油戦でコピーして使用しました。
狗巻は呪言を使うと、喉をからしたり、「堕ちろ」では喀血したりと、呪力と体力の代償を払っている描写があります。
それに対して、乙骨は呪言を放った後こういった代償を支払った描写はありません。
コピーして使った呪言は「死ね」という「堕ちろ」「爆ぜろ」以上に強力な言葉にも関わらずです。
これは先述した通り、リカから乙骨に流れ出る無限の呪力があるからです。
MP無限だから、必殺技使っても全くゲージ減らないイメージ。
すなわち、乙骨の能力はまとめると以下の通り。
通常攻撃はクリティカル
ダメージは基本半減
相手の能力コピーし放題。
なにこのチート。
しかも、緒方さんの声だからこのチート能力にもそれなりの説得力が生まれるという無敵っぷりですよ。
アニメ二期に登場するのをみんなで待ちましょう!
映画をヒントにした原作の考察
ここからは原作読者、アニメ視聴者向けを対象として書いています。そのため若干説明不足な点があるかと思います。ご了承ください。
五条が夏油に言った最後の言葉
結論から言うと、
最後に五条悟が言ったのは
「おかえり。」
だったと私は思いました。
「呪術廻戦0」には2つのストーリーの軸があります。
1つは、乙骨とリカ。もう1つが五条と夏油。
原作では後者の方は、描写も少なく比率としては乙骨リカ7、五条夏油3程度でした。
しかし
映画ではほぼほぼ5:5ぐらいで描かれていました。
乙骨とリカのストーリーは物語のクライマックスとして帰着するのに対して、五条と夏油のストーリーはそんなメインの裏として静かに帰着しました。
原作と違い、最後のシーンがすべてシリアスだったのがよかったですね。
乙骨の学生証を返すシーンは原作ではコミカルなタッチで描いてたのが、映画では五条が夏油に対して呆れた感情を表すといった具合に。
さて、なぜ五条が夏油に
「おかえり」
と声をかけたか。
口の動きからなんとなく読み取れるのも一つですが、夏油の最後のセリフが大きなヒントです。
「最後くらい呪いの言葉を吐けよ。」
五条が夏油にかけたのは、どう捉えても呪いとしては受け取れない言葉。
そうなると、「さよなら」「じゃあ」など別れの言葉は該当しません。
「好きだ」「ありがとう」といった感謝の言葉も呪いとなることは「呪術廻戦0」にて散々描写されてきましたよね。
また、呪霊は未練のある場にとどまるという性質。
夏油が未練のある場所。
それは、旧友五条と袂をわかち、呪術界を変えるとちかった場所。
呪術高専です。
この2点から、夏油が帰着する場所、逝く場所という思いを込めて
「おかえり」
の言葉をかけたのだと推測できます。
祓うことはできても、呪いとして残ることはない。
一過性の言葉として最適だったということです。
もちろん!!五条の個人的感情がこもっているのは言わずもがなです。
形はどうあれ、かつての親友が呪術高専に戻ってきた。
最後は反逆の呪詛師としてではなく、親友の夏油傑として逝ってほしかったという気持ちをこめた言葉としては、これが的確かと五条は思ったのではないでしょうか。
乙骨とミゲルのその後
エンドロール後の映像で唐突に現れましたね!!!
なるほど。乙骨は虎杖らが交流戦をしていた時はケニアにいたということです。
では、ここで考えたいのは乙骨はケニアで何をしていたのか。
これは、乙骨が「呪術廻戦0」の百鬼夜行の後、リカを祓ったことにより4級術師に一度落ちていることがヒントとなります。
リカによる無限の呪力はたしかに祓った時点でなくなりました。
しかし、リカ自体が乙骨がもともと持っていた呪力によって生み出された呪霊だったことも「呪術廻戦0」のラストで明かされています。
その証拠に1年時に出場した京都高との交流戦では圧勝したとの情報もあります。
ただし、この時はまだまだ呪力を制御できていない状態。
それからしばらく特級呪術師になるまで間があったと思われます。
すなわち、乙骨は再登場の際には特級呪術師に返り咲き、虎杖戦において圧倒的な戦闘力を奮っていることからも「呪術廻戦0」から本編登場までの間に自身のもつ無限の呪力をコントロールする術を学んでいたことが推測できます。
そこで登場するのがミゲル。
コミックスではあの五条を10分足止めした彼こそが百鬼夜行におけるMVPだと言われています(笑)
ここで注目したいのは彼のもつ呪具。
呪具自体に呪術師が呪いを編み込むという縄。
ミゲルの故郷はケニアであると公式ファンブックにて判明しました。
ケニアはシャーマンの聖地。
シャーマン=西洋の呪術師。
乙骨は呪具自体を強化することで自身の呪力を制御する術を得たと仮説を立てることができるのではないでしょうか?
そして、この仮説は今回の映画のエンドロール後映像によってほぼほぼ真であることが確定したと言えます。
乙骨は自身の無限と言える呪力を刀とその鞘に巻かれた糸に分散することにより制御できた。
現に、虎杖との戦闘では刀と鞘全体に呪力が流れている描写があります。
さらに術式「リカ」を自在に操れるように訓練も積んだ。
そうして、特級呪術師として虎杖の前に現れた。
この道筋がすんなりと落ちるような気がしました。
また、この乙骨の特級呪術師への返り咲きが五条のシナリオ通りであったことも映画から推測することができます。
先述した通り、ミゲルは五条を10分足止めするという大金星(?)を上げました。
ここで1点疑問が。
五条先生、まじで本気だったの?
渋谷事変の時と違って、領域展開し放題の状況で一瞬で勝負を決められないというのは少々疑問が残ります。
そこで、ここでも仮説を。
五条はミゲルの術式を見た時から乙骨のパワーアップに利用しようと考えた。
ミゲルの持つ呪具の扱い方を学べば、乙骨は呪力を制御できて五条の目的(後の虎杖保護)にも役立つ。
そのため、ミゲルはここでは殺してはならなかった。
領域展開をしては確実にそれはかないません。
よって、結果としてミゲルは生還した上で乙骨の付き人となったと考えられます。
ミゲルがすごかったんと違うんかい……。
で、この話はおそらく近い内に本編でも語られるのではないかなとも思います。
まとめ
「呪術廻戦0」は「呪術廻戦」の入門として100点満点の作品だったと言えます。
また、原作ファンにとってもサービス的な要素や補完要素の多い満足度が高い作品です。
ここまで完成度が高い映画となったことに驚きました。もちろん嬉しい意味で!
この映画を見て、「呪術廻戦」に興味をもった方はまずはアニメから入るのをおすすめします。
漫画よりも描写が見やすいので、ストーリーを楽しめますので。
ただし!!!
注意としては「呪術廻戦0」の1.5倍は「呪術廻戦」のストーリーは複雑怪奇です。
そこが魅力でもありますが、映画のようなはっきりとしたストーリーが好きな方は若干苦労するかもです。
しかし、それでもおすすめしたいです。
間違いなく週刊少年ジャンプの看板作品といえる漫画ですので!!
ぜひぜひ、「呪術廻戦」にハマったよという人は感想を教えて下さい。