こんにちは。てんすけです。
今回の記事は10/29公開のアニメ映画「アイの歌声を聴かせて」の作品紹介とネタバレ感想です。
あらすじ
景部高等学校に転入してきた謎の美少女、シオン(cv土屋太鳳)は抜群の運動神経と天真爛漫な性格で学校の人気者になるが…実は試験中の【AI】だった!
シオンはクラスでいつもひとりぼっちのサトミ(cv福原遥)の前で突然歌い出し、思いもよらない方法でサトミの“幸せ”を叶えようとする。彼女がAIであることを知ってしまったサトミと、幼馴染で機械マニアのトウマ(cv工藤阿須加)、人気NO.1イケメンのゴッちゃん(cv興津和幸)、気の強いアヤ(cv小松未可子)、柔道部員のサンダー(cv日野聡)たちは、シオンに振り回されながらも、ひたむきな姿とその歌声に心動かされていく。
しかしシオンがサトミのためにとったある行動をきっかけに、大騒動に巻き込まれてしまう――。
ちょっぴりポンコツなAIとクラスメイトが織りなす、ハートフルエンターテイメント!(公式サイトより)
ネタバレなし感想&見どころ紹介
予告でも分かる通り、シオン役土屋太鳳さんの歌唱力がすごい!
物語の中で、登場人物たちが抱える問題をAIのシオンが解決していく。
ドラえもんのような感じですが、シオンはひみつ道具の代わりに歌を使います。
これを実際に土屋太鳳さんが歌唱しているのですが、このクオリティが高い高い!
土屋太鳳さんといえば、最近はめっきりアクション派の印象強いのですが、ミュージカルも見てみたい!!と本作を見て思いました。
また、登場する1つ1つのガジェットにワクワクします。
本作はAIを研究する企業が製品試験をしている田舎の街が舞台です。
交通、農作業、学校などなどインフラを始めとする生活に関わる様々なものがロボット=AIによって行われた世界を描きます。
そこで出てくるガジェット類が、我々の生きる現代からほんの少しブラッシュアップされたものばかりでワクワクするんですね。
ちょっと経てば、我々もこんな生活できるんじゃないか!って。
青春映画好き
ミュージカル好き
ガジェット好き
こんな方々には自信をもっておすすめできる作品です!
ここからネタバレあります
ネタバレ感想
リアリティの中に描かれたたった1つのファンタジー
まず私は予告編見た段階で、本作のオチは次のようなものだと想像していました。
正体不明のAIシオンを作ったのは、主人公サトミの親(死別か普段疎遠)
そのため、サトミを幸せにするというプログラムの正体を知って親子の仲が修復される
まあ、こんな感じで感動させるんでしょう?
だって、AIを登場させるということはプログラムした人がいるってこと。
その人の思いがAIを作るってことだから、そういう真実の明し方するだけしょ!
そして、私は答え合わせをする気持ちで見に行きました。
はじめてされた命令「サトミを幸せにする」これを自力で解釈するために成長を繰り返したAI、それがシオンの正体だったのです。
AIが自己成長する。
これって多くのSF作品で描かれてきていますが、多くはホラーやスリラーとして扱われることが多かったもの。
なぜなら「ありえない」もしくは「あってはならない」事象だからです。
じゃあ、そんなAIの成長を本作ではどう扱ったか。
シオンを
作ったトウマ
残そうとした母ミチコ
そういった人々の願いによって生まれた奇跡
このように表現したのです。
ただし上記の通り、本作は我々の生きる現代のほんの少し先の未来というリアルな世界観をもって描かれています。
AIの成長というリアリティを損なうものをどう描いたのか。
そこで用いられたのが、ディズニー作品のようなファンタジーミュージカルとの融合なんです。
冒頭のエレクトリカルパレードを思わせる描写に始まり、同級生の諸問題を解決する場面で披露される歌の数々。
これがファンタジーミュージカルのフォーマットであるとは、見終わるまでまったく気が付きませんでした。
このフォーマットで描かれることにより、リアリティのある世界観を維持しつつ、AIの成長という1つの奇跡のみが際立つのです。
作り手側が本作にこめたテーマを大切にしていることが、ダイレクトに伝わりましたね。
本作のテーマについて
本作は「技術革新が進むと人間同士の対話が減るのではないか」という命題に対して、非常に現実的かつ希望的な答えを提示しています。
この命題はがっつり現代でも議論されていることで、答えなんてでていません。
特にGIGAスクール構想では最もホットです。
さて、本作がこの命題に出した答え。それは
人間同士の対話こそ大切
AIはそれを補助するために機能する
実は、AIのシオンのもとはサトミに思いを寄せるトウマが小学校3年の時に作ったものでした。(すげえ)
この真実が明かされた時、シオンのすべての行動原理がサトミを幸せにするということが発覚します。
当然ですが、プログラムであるシオンには「幸せ」なんていう抽象概念はわかりません。
しかし、サトミや同級生らとの生活の中でシオンは「幸せとは思いを正直に伝えること」という解釈を見出します。
これはディープラーニングといっていいのか?
AI自身が人間同士のコミュニケーションを円滑にするという目的に目覚めたということです。
トウマ、サトミ、それぞれに伝えたい思いがありました。
シオンはそれを代弁するのではなく、手助けをするための1つのツールだったのです。
すなわち、本作では技術革新も否定せず、AIとの共存をしても人間同士が分かり合うためには対話が必要不可欠であると描いているのです。
ちょっと楽観的理想的すぎる、それもわかりますがこういうぶっ飛んだレベルで幸せになれるものが映画なんだと思います!
さいごに
以前、「整形水」の感想で日本アニメ大丈夫!?と私は書いていました。
前言撤回します!
日本アニメは素晴らしい。
本作のようなポジティブで夢のある作品がどんどん増えていくことをいち映画ファン、アニメファンとして願います。