最新作「グリッドマンユニバース」の感想はこちら。
こんにちは。てんすけです。
みなさんはアニメ見ますか?
私はめっちゃ見ます!いろんなものを見ている私ですが、特に好きなのは物語のテーマに深みのあるもの。
その中でもイチオシの作品を今回の記事で紹介したいと思います。
その名も「SSSS GRIDMAN」
最近ではスーパーロボット大戦シリーズ最新作にも参戦が発表された作品です。
「SSSS GRIDMAN」見るならNetflixがおすすめ。全12話すべて配信していますよ。
グリッドマンって?
そもそもですが、「SSSS GRIDMAN」はウルトラマンの円谷プロが1993年に制作した「電光超人グリッドマン」を原作とした作品です。
とはいえ、ストーリーは完全に独立しているので「電光超人グリッドマン」を見ていなくても大丈夫です。
もちろん見ている人は120%楽しめますよ!
「電光超人グリッドマン」について軽く解説すると、1993〜1994年に放送されていた特撮ドラマで、ウルトラマンの新作がなかった時代の子供たちのヒーローだった作品です。
コンピューター世界を舞台にしたドラマと、登場人物の大半が中学生という点が今までのヒーロー物と一線を画す点でした。
青春群像劇主体のヒーローという、子供たちから感情移入しやすい形の物語となっていました。
また、子供同士の恋愛や鍵っ子問題、連れ去り、ごみ問題、などなど当時の社会問題を取り扱っていたのも特徴です。
「電光超人グリッドマン」はYou Tubeで一部配信されています。時代を超えた名作なので興味ある方は見てみてください。
「SSSS GRIDMAN」は原作である「電光超人グリッドマン」の少年少女主体、社会問題を扱うという点を引き継ぎ描いています。
あらすじ
響裕太(グリッドマンと一体化する)
宝多六花
内海将
響裕太はある日、クラスメイトの宝多六花の家の前で倒れ、自分の名前を含むすべての記憶を思いだせない状態で目覚める。
混乱する裕太は、六花の家が営むジャンクショップに置かれていた古いパソコンから呼びかけて来るハイパーエージェントグリッドマンから、自身の使命を果たすように諭される。裕太は戸惑いながらも日常生活に戻るが、街に謎の怪獣が現れたとき、グリッドマンに導かれるまま彼と合体して怪獣を撃破する。
物語のテーマについて
「SSSS GRIDMAN」で扱っているテーマは非常にセンシティブです。
それは「自死との向き合い方」
子供たちの明確な理由なき自殺という社会問題について、この作品では考えることができます。
こめられたテーマを考えるために注目すべきは、本作では主人公側ではなく敵対者側です。
魔王アレクシス・ケリヴに魅入られた新条アカネ。
アレクシス・ケリヴ
新条アカネ
彼女が怪獣を生み出し、同級生や担任教師など身近な人を殺害したり街を破壊したりするのを、グリッドマン同盟が戦い阻止するというのがメインのストーリーです。
さて、なぜこのような物語が「自死との向き合い方」というテーマをはらむのでしょうか。
「SSSS GRIDMAN」では現代の思春期の子供たちの心を非常に丁寧に描いています。
クラス内での人間関係が及ぼす影響
なんとなく授業に出ない
好き 好きじゃない で決まらない恋愛
ヒーローがやってきただけでは解決できない問題を、子供たちは数多く抱えているのです。
さて、そんな子供たちに対してグリッドマンはどんなはたらきかけをするのか。どんな影響を与えるのか。
先述した新条アカネに注目し、最終回まで視聴してみてください。
この物語が「自死との向き合い方」に対して、現代に生きる子供たちに本気で向き合って作られていることがわかるはずです。
また、大石昌良さんによるOP「UNION」をぜひ最終回後に聞いてみてください。
ヒーローのテーマソングだった本楽曲がまったく違ったものに変わります。
ぜひ!全12話ご覧ください。
もちろんサポートメカが出てきたり
新たなヒーローが出てきたり
みんなで合体したり
などなどヒーローアニメとしての完成度も非常に高いです!
私は怪獣のデザインが好き
ここから先はネタバレ込での作品考察となります。 物語のテーマについて詳しく語ります。
(ネタバレ)新条アカネの心の問題
実は、裕太、六花、将らの生きる世界は新条アカネが作り出した仮想世界でした。
つまり、この「SSSS GRIDMAN」という物語自体が新条アカネの心の中での話だったのです。
OPの映像でも示唆されているのですが、新条アカネは現実世界での何らかの出来事が原因となって、この仮想世界の中に逃げ込んだ存在。
現実に生きているのですが、自己の世界に閉じこもってしまった人物なのです。
彼女を救いに来たのがグリッドマン。
ただ、彼女を救ったのはグリッドマンではありませんでした。
ここが、「SSSS GRIDMAN」として「電光超人グリッドマン」をリファインした最大のポイントだと思います。
彼女は、最終的に自分が作った世界の住人の六花による後押しによって自己の世界から飛び出しました。
内に閉じこもった人に対して、外から「みんながついてるよ!」と声をかける終わり方は一見ものすごく大団円な気がします。
現に、「電光超人グリッドマン」はそうでした。
「SSSS GRIDMAN」ではそれは適切ではないとメッセージをこめています。
自死という事象自体を否定していないのが、この作品の特異な点です。
新条アカネを救った人物は上述したとおり、自分が生み出した宝多六花。つまり、自死と向き合うためには自身の中に徹底的にこもることを肯定し、離脱のきっかけは外から与えられるものではないと描いています。
自分の心の修復を時間をかけてすること。
それには、宝多六花だけではなくアンチも重要でした。
アンチ
アンチ怪獣態
アンチは、拒絶と肯定の象徴であると私は解釈しました。
彼が創造された理由は新条アカネの世界にはいなかったグリッドマンの排除。
グリッドマンは外部からやってきた他者です。当然といえば当然ですが、新条アカネは、アンチによって他者に対して拒絶を示します。
しかし、物語が進むにつれ自我が芽生えたアンチはグリッドマン同盟を認め、ついにはグリッドマンを守る者=グリッドナイトへ覚醒します。
グリッドナイト
拒絶した他者を何故か守り出したのです。
さらに最終話では新条アカネを助け出すという役割を担います。
この時点での彼は、新条アカネの物語における立派なヒーローです。
新条アカネは物語の中で救済されることを肯定していったのです。
新条アカネは自分が作り出したこの2人の存在によって現実世界に目覚めます。
それがラストシーンと上述のMVで描かれます。
このMVによって本作が「電光超人グリッドマン」の1エピソードだったとも解釈できるんですね。
「SSSS GRIDMAN」が「自死との向き合い方」に対して示した答え。
それは、
現実世界が素晴らしいものでなかったとしても、自分の中には自分を肯定してくれる(守ってくれる)存在が生まれる。
そんな優しいメッセージだと私は解釈しました。
まさに「電光超人グリッドマン」の続編ともいうべき着地点であり、現代の子供の心の問題と真剣に向き合った答えだと感じました。
と、こんな感じに「電光超人グリッドマン」を過去のものとせずに、現代においても子供たちを救うヒーローとして描いた点から、「SSSS GRIDMAN」は全世代に見てほしい1作だと強くおすすめします!